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四国・愛媛県愛南町に、ひっそりと佇むみかん農園「自然栽培えん農園」。
50年以上もの間、農薬や化学肥料に頼らず、自然の力を最大限に活かしてみかんを育ててきました。
現在、この農園を守り続けるのは、3代目の店主。
もともとファッションの勉強をしていた店主が、なぜ農業へと道を変え、自然栽培の世界に飛び込んだのか―そのストーリーをひも解きます。
運命の出会いから、農園を引き継ぐまで
店主のルーツは山口県。福岡でファッションを学び、大阪で服づくりに携わる仕事を経験したのち、高知県へ移住しました。
そんなある日、知人の紹介で農園のアルバイトを始めます。そこはすでに50年以上、無農薬でみかんを育てている場所でした。
青々と茂る草、堂々と枝を広げるみかんの木、鳥たちが飛び交い、虫たちが息づく―その景色は、店主にとってまるで別世界のようでした。
気軽に行ってみたアルバイトだったそうですが、自然のたくましさ、美しさに心を奪われ、後先を深く考えずに後継者となることを決意します。
そして2017年、「自然栽培えん農園」として新たなスタートを切りました。
“自然の声を聴く” という農業
えん農園が目指すのは、“人間の都合” ではなく “自然の在り方” に寄り添う農業。
福岡正信氏の「わら一本の革命」に感銘を受け、自然農法を取り入れています。
例えば、
・草はなるべく刈らず、雑草も共に生かす「草生栽培」
・みかんの木は途中で選定せず、自然のままの高さにする（一般的には2mほどで仕立てる）
・農園内で食物連鎖が完結する環境づくり（虫、微生物、鳥、動物が共存）
こうした工夫により、農薬を使わずとも、みかんが本来持つ育つ力を存分に発揮できる環境を整えています。
「みかんがどうしたいのか？」を考え、観察し続ける―それが、えん農園の哲学なのです。
“品種改良なし” のみかんたち
えん農園で育つのは、人工的な品種改良を一切施していないみかん。
「甘夏」と「河内晩柑（かわちばんかん）」という、生命力あふれる2つの品種です。
甘夏（5〜7月収穫）
・酸味と甘みが調和した、しっかりした味わい
・皮が厚く丈夫で、虫にも負けないたくましさ
・サラダやカルパッチョ、カレーの隠し味にも◎
・酸味が強いのでジャムやマーマレードにもぴったり
河内晩柑（5〜9月収穫）
・酸味が少なく、さわやかでジューシー
・甘夏ほどの甘みはないが、幅広い人に好まれる味わい
・冷やすと果肉が引き締まり、より美味しくなる
・ジャムにするのもおすすめ
これらのみかんは、通販サイトから購入可能。
生の美味しさをシンプルに味わってほしいという想いから、加工品ではなくフレッシュなみかんのみを販売しています。
100年先まで続く農業を目指して
「完全無農薬で100年続く農園をつくりたい」。
それが、えん農園の大きな目標です。
そして、その未来を託せる “4代目” も探しているそう。
また、農業を持続可能なものにするため、店主は 農業コンサルタント としても活動中。
これまで30社以上の企業を支援した経験を活かし、農家の収益化や経営改善にも力を入れています。
農家が減少し続ける現状を変え、「農業で食べていける」仕組みを作ることが、日本の食の未来を守ることにつながると考えています。
収穫体験や情報発信も！
農園では 収穫体験 も可能！
自然栽培のみかんを、自らの手で収穫する楽しさを味わえます。ウェブチケットで予約できるので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
また、えん農園の メルマガ では、自農園の情報に加え、全国のオーガニック農家やフードロス削減に関する情報も発信中。
「この規格外のキュウリが〇トン余っている」などのリアルな情報を共有し、食の循環をサポートしています。
無農薬農業の可能性を、日本中へ
「無農薬でも、美味しいみかんは育つ」。えん農園の存在は、そのことを証明するひとつのモデルです。
全国には、まだまだ多くの自然栽培の農家が存在します。その農家たちと情報をシェアし合い、未来の農業の在り方をともに考えていくことも、えん農園の大切な役割。
「自然とともに生きる農業を、もっと広めたい」。そんな想いを込めて、今日もみかんと向き合い続けています。
■店舗情報
店 名：自然栽培えん農園
住 所：愛媛県愛南町
Instagram：こちら
公式ホームページ：こちら
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